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「うん。まぁ、変わらないと思うけど」
あたしのはっきりとした返答に、零は声を出して笑った。
「栞らしくていいけど」
「…あたしこんなんじゃなかったんだよ」
「ん?」
「あたし、零と出会う前はもっと冷めてた。喜怒哀楽激しくなかったし、適当に生きてたし。零がそれを変えてくれたんだと思う。それじゃなきゃ、あんまり冗談とか言ったり、いっぱい笑ったり出来なかったもん」
あたしはなんだか無意識に話し出していた。
段々と、過去のことを思い出す。
「もしあの雨の日に零と出会えてなかったら、あたしはあのままだった。一生結婚も出来なかったと思うし」
「あの日に出会えてなくても、もしかしたら会社で会って好きになったかもよ?まぁ、自信ないけど」
「じゃぁ言わないでよ」
軽く零を睨むと、零は優しく微笑んだ。
「今となっては、後付けでしか言えないよ。でも、こうなる運命だったんじゃない?そう最初から仕組まれていたんだよ」
「誰に?」
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