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あたしがそう聞くと、零は少し困った顔をした。
そして考え込んだ顔をしたと思ったら、正面を指差した。
「神様?」
「えー…」
「えーってなに。それしか答えが無いだろ」
零の必死な様子を見て、あたしは少し笑いが込み上げて来た。
「でも、必然だったのかもね。あたしが負った傷みは、零と出会うためのものだったのかな。そう考えたら、傷は深かったけど…あれで良かったんだと思う」
「…」
「いろんなことがあったよね。零にも辛い思いをさせたこともあったけど、あたしのことを好きになってくれてありが」
あたしは全部を言うことが出来なかった。
零に抱きしめられていたから。
「いっぱい辛い思いさせたのは俺のほうだよ」
「そんなことない。零はいつだってあたしのこと支えてくれたよ」
零の抱きしめる力が強くなる。
苦しい気もするけど、心地よい。
やっぱり零の腕の中にいると安心する。
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