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「いつ結婚すんだよ?」
「さぁ~。向こうがもう少し落ち着いたらかな」
上総はちゃんと考えているようだった。
どこまでも大人だなぁと思った。
「じゃ、俺あっちだから。おつかれ」
そう言って上総はあたし達を残して行ってしまった。
「かっこいいなぁ~、上総は」
上総の後ろ姿を見ながらあたしは無意識につぶやいた。
「彼氏の前でそーゆーこと言うんじゃねーよ」
後ろから、髪の毛をぐしゃぐしゃっとされた。
零を見上げると、少しすねた顔をしていた。
「ごめんごめん」
「まぁ、上総がかっこいいのはわかってるけど。俺ら三人、あいつに迷惑かけっぱなしだからな」
零が歩き出す。
「面倒見いいっつーか、優しすぎるんだよ」
「そうなんだ…」
「ま、それぞれが色々あるんだよ」
まるで自分にも色々あるみたいな言い方だった。
でも、誰にだって色々ある。もちろんあたしにだって。
零にはまだ何も言いたくない。
何も言えない。
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