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「栞のニオイがする」 「変態」 あたしと零の下りる駅は同じ。住んでるところも結構近かった。 だから今日、電車の中ではどっちの家に行くかを決めた。 そして結局あたしの家になったってわけだ。 「何作ってくれるの?」 「あるもので適当に。なにができるかなぁ~」 冷蔵庫を開けてみる。 「…適当に作るか。零、なんでも食べてね」 「はいよ」 「…着替えるから、こっちこないでね」 …零の目が光った気がした。 嫌な予感がする。 「いいじゃん。裸見てんだし。着替えてよ」 「やだよ~」 零が段々近づいてくるからあたしは後退りをした。 「何で近づいてくるの?」 「脱がせてやろうと思って」 ベッドに押し倒される。 「…」 「抵抗しないんだ」 「零に勝てるわけないじゃない…」 零が見つめる。 それだけであたしの心臓は速くなる。 「素直だね。でも、今は栞より栞の作ったご飯が食べたいかな」 .
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