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オフィスに戻ると、みんな外勤に出てしまったのか、デスクには章介しかいなかった。
「ねぇ」
あたしはさっきの話をした。
「へぇ。誰かに見られてたんじゃない?二人で会ってるの」
「だよね。なんか面倒なことになりそう」
あたしはデスクに顔を伏せた。
「ただいま。あれ?何か話してた?」
上総が戻って来た。
章介がおもしろそうにさっきの出来事を上総に話した。
「真奈って、多分秘書課の辻井真奈だよ。声高い女でしょ」
「そうそう」
「えっ。あの辻井真奈?やばいなー」
章介が焦ったように言う。
あたしは少し不安になって聞き返した。
「何がヤバいの?」
「あの女、一時期上総につきまとってたんだよ。ストーカーとまではいかないけど、猛烈なアピールだったよなぁ…」
章介の顔が青ざめる。
「毎日メールはもちろん、会ったら離してくれないからね」
「しまいにはさ、当時上総と噂になった女子社員が嫌がらせに耐えられなくて退職したんだよ。まぁ、ただ噂になっただけで付き合ってはいなかったけど」
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