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「うん。ちょうどクロゼット開けたから、出してみようかな」
そう言ってあたしはクロゼットから小さな箱を取り出した。
テーブルの上に置き、中を開けてみる。
出てきたのは、アクセサリーや写真だった。
「なつかしいね」
「うん」
これらは元カレとの思い出の品の数々だった。
元カレのことはもう好きじゃない。
でも、一生忘れられないと思っている。
あたしに、消えない傷を作ったあの人。
「今どうしているんだろね」
写真を手に取り、亜希がつぶやく。
「わかんない。もう興味ないや」
「じゃぁ燃やしちゃうよ、この写真。亜希この人嫌いだから」
亜希はタバコを吸うのに出したライターで写真に火を付けた。
「週末、これ質屋に出そうかな」
「アクセ?これ全部売ったらそうとういい金額になるよ」
亜希が鑑定士みたく言う。
あの人からもらった指輪やネックレスは、どれも高級なものばかりだった。
「それでそのお金で飲みにでも行こうか。しばらく二人で飲んでないし」
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