32358人が本棚に入れています
本棚に追加
昼は仕事、夜は荷造りの毎日が続き、あたしは少し寝不足だった。
「顔色悪いよ、栞ちゃん」
心配そうに司が顔を覗き込む。
「大丈夫。ただの寝不足だから~」
「そんなに夜が激しいの?」
章介がにやけながら言ってきた。
するとすかさず、零が丸めた書類で章介の頭をパコンと叩いた。
「アホ。どうしておまえは下の方しか考えないんだよ」
上総と司がクスクスと笑った。
今日は部長が一日留守だからオフィスも軽くだらけた雰囲気だった(笑)
「栞、今日から二人で帰るか」
終業時間になり、零が突然そう言った。
「彼女がいるって言っちゃったし、噂されてるなら隠す必要ないだろうと思って」
そういうわけで、初めて零と二人で会社を出ることになった。
出た瞬間から手を繋いでみる。
周りの視線がイタイ。
「来週からなんか言われるかもな」
「言われるのはあたしだよ。厭味とか嫉みとかひがみだろうけど…」
「栞ってさ、女同士の争いとか、自分一人で解決しちゃいそう」
繋いだ手に力が入る。
.
最初のコメントを投稿しよう!