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「ちゃんと言えよ」
「わかってるよ」
そう言ったものの、あたしは零の言う通り、一人で解決するタイプだった。
というか、男が出る幕はないと思う。
辻井真奈が本気で零のことを好きだって言うなら、あたしは本気で辻井真奈にぶつかってやる。
それくらい零が好きだから。
「そういえば、いつ引っ越せそう?」
「来週中かな。荷物少ないから早かったわ。日曜にいらない家具を引き取ってもらいに業者が来るんだ」
「そっか」
お互い一人暮らしをしていると、家具や家電など必要なものがかぶってしまっている。
今回は零のモノのほうがあたしのよりもいいやつばかりだったこともあり、あたしのベッドや洗濯機なんかは売ることにした。
「今日は来る?」
「今日は帰る。明日、昼から亜希と約束してるんだ。夜もそのまま飲むの」
「そうなんだ」
少し拗ねたように言った零が、少しかわいく思えた。
「じゃぁ俺も純也と久しぶりに会うかな…」
「たまには男同士の友情深めたら?」
そんなことを言いながら初めて二人で歩く駅までの道を楽しく過ごした。
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