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「ごめーん栞、待ったでしょ?」
今日は亜希との約束の日。
珍しく亜希は少し遅刻した。
「待ってないよ」
「服が決まらなくて悩んでたの」
「高校生の初デートじゃないんだから…」
そんなこんなで、あたし達はまず質屋に向かった。
あたしのトートバッグの中にはあの人からもらったアクセサリーが入っている。
今まで何度も捨てようとした。
でもそれができなかった。
思い出にするのが辛かったから。
でも今は違う。
売ってそのお金で飲みに行っちゃおうって言えるくらいになった。
零のおかげでもあるし、亜希がずっと見守ってくれていたおかげでもある。
あたしは今幸せだ。
「全部でこの金額ですね」
あたし達は電卓に表示された金額に言葉も出ないくらい驚いた。
正直、予想以上だったからだ。
「質がいいからね。保証書も箱も綺麗だし」
思い出はあたしの一ヶ月の給料以上になった(笑)
もうあの人にもらったものは何もない。
写真も亜希が燃やしてしまったし。
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