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「あ、わかった。二人が付き合ってることで上総がなんか言ったんでしょ。俺らもさっきまで色んな人に聞かれたよな」
章介が司に言うと、司は何回か頷いた。
「お前ら、余計なこと言ってないよな」
零が100パーセント疑った目で二人を見た。
「佐島くんの方が神谷くんのこと好きで好きでどうしようもなくて、それでやっとの思いで落としたんだろ」
「部長!」
いつのまにか部長がオフィスにいた。
というか、部長はどこから聞いたんだろう。
「さっきそこで話を聞いてね。美男美女じゃないか、若いのはいいなぁ」
部長が席に着くと、零がその前に立った。
「なかなか報告できなくてすいません。仕事にプライベートは持ち込まないので温かく見守っていてください」
「もちろんだよ。そもそも、君達の仕事ぶりを見ていたら、プライベートを持ち込むなんて考えられないよ。そこは信用しているつもりだよ」
「ありがとうございます」
零が深々と頭を下げたので、あたしも同じように頭を下げた。
デスクについてから、上総がこっそり耳打ちして来た。
「零が好きで好きでってことにしとけば、栞にたいする悪い話も少しはなくなるでしょ」
あたしは納得して微笑んだ。
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