32358人が本棚に入れています
本棚に追加
嫌がらせといっていいのかもわからないことから始まった。
辻井真奈のグループの子達だろう。
すれ違うたびにわざとぶつかってくるようになった。
陰口みたいのも聞こえてくる。
小学生かよ。
最初はそんな感じだった。
でもそれは、段々とエスカレートしていった。
階段を下りているときだった。
ドンッ…
「うそっ…」
明らかに誰かに背中を押されたのだ。
そのまま階段から落ちてしまったあたしは気を失った。
気を失う少し前、階段の上にうっすらと人影らしきものがあったけど、結局誰かもわからなかった。
気付けば医務室のベッドの上にいた。
「…」
「栞?気がついたのか!?」
目を開けると、零が心配そうな顔をしていた。
「大丈夫…」
ふと時計を見ると、七時を過ぎていた。
大分眠っていたみたいだ。
「お腹すいたから帰ろう、零」
「大丈夫か?どこも痛いところはないか?」
「うん。考え事しながら階段下りたらダメだね。落ちたのが低いところでよかった」
とりあえずそういうことにした。
零に心配をかけたくないとか、そういうことじゃない。
あたしが一人で片付けたいだけだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!