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引っ越しも全部終わり、数日前から零の部屋での生活が始まっていた。
「あ、ここ青くなってる」
一緒に向かい合ってお風呂に入っているとき、零があたしの肩付近に青いアザがあるのを見つけた。
たぶん階段から落ちたときにぶつかってついたのだろう。
「考え事しながら階段下りちゃダメだよね」
あたしは心配をかけないように明るく言った。
「ホントに考え事してたの?」
「え?」
すぐにわかった。
零はあたしが階段から落ちたのをたまたまだと思ってない。
「誰かに突き落とされたんじゃないの?」
「そんなことないよ」
「本当?」
「ホントだよ?」
零はあたしの顔を見つめたままだった。
なんだか心を読まれそう。
でも、読まれるわけには行かない。
「わかった」
そう言うと零はあたしをきつく抱きしめた。
「なんかあったら絶対言って」
耳元で、いつもよりも真剣な声で零が言った。
「わかってるよ。今日は心配かけてごめん」
零の頬に軽くキスをした。
お風呂から上がって、すぐにベッドに入った。
そしていつものように零に抱きしめられながら眠りについた。
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