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辻井真奈が強い口調で言った。
「任すって?」
「真奈をダシにするなんて許せないの。またなんかされたら真奈にすぐ言ってね。それよりも、髪なんとかしたほうがいいよ」
言われて思い出した。
零に何を言われるかビクビクしながらあたしはオフィスに戻った。
すると案の定、あたしの髪を見て零が駆け寄って来た。
驚いているのも無理はない。
腰近くあった髪が半分肩までになっているのだから。
「しお…」
「どうしたのその髪」
零がなにか言いかけたとき、あたしの髪に気付いた司達もあたしの傍に来た。
「辻井真奈にやられたの?」
章介が心配そうに聞いて来た。
「違うよ。彼女は何も悪くないから。絶対に」
そう言ってあたしはさっきの出来事を全部話した。
みんなの顔がどんどん曇っていった。
「そういうわけで、髪切りに早退するね」
「あ、それなら…」
司が名刺を一枚取り出した。
見ると『サロン A 桜ノ宮 凜』と書いてあった。
「彼女の店、ここから近いんだ。連絡しておくからすぐ行きなよ。いつまでもその髪じゃ嫌でしょ」
「ありがとう」
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