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『ごめんなさいっ…もうしません…グスッ』
『あたしたちがバカだったんです…佐島さんを独り占めしてるのが悔しくて…』
辻井真奈のケータイの動画には、顔に落書きをされた数人の女が泣きながら謝っていた。
「笑えるでしょ」
ジョッキを片手に辻井真奈が笑った。
数分前、駅で落ち合った後あたしはこの居酒屋に連れてこられた。
辻井真奈に居酒屋ってなんだか意外な感じがする。
「どうしたの?これ」
「犯人見つけだして呼び出してやってやったの。真奈を利用した罰。もう何も起こらないと思うから、安心して。って、そもそも真奈から始まったんだけど」
辻井真奈がバツの悪そうな顔をしたのが、なんだか少し笑えた。
「今日は真奈のおごりだから、いっぱい飲んで!」
「えー悪いよ」
「これくらいさせてよ!真奈の気持ちがおさまらないの」
辻井真奈が必死に言う。
「じゃぁ、友達になってよ」
あたしはそんな変なことを言ったつもりはなかった。
なのに辻井真奈は何言ってるんだコイツみたいな顔している。
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