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真奈との飲み会は日付が変わるまで終わらなかった。
ちなみに朝が来たらお互い仕事。
あたしが思ったよりも酔っ払って帰って来たから零は少し驚いていた。
「はい、水」
あたしは受け取ったミネラルウォーターを一気に口の中に流し込んだ。
冷たくておいしかった。
「ふぅ…ありがと」
「遅かったね」
零が横に座る。
「なんか盛り上がっちゃって。おもしろかったよ。今度は亜希も誘おうと思った」
「…彼氏のこと忘れるなよ~」
零はそう言うと、あたしをきつく抱きしめた。
「妬いてるの?真奈や亜希に?」
「妬いてるとかじゃなくて。栞、肝心なことは話してくれないから」
否定できなかった。
あたしはなんでも亜希に言う。
それは亜希が一番付き合いが長いからだ。
そしてあたしはなんでも一人でしようとする。
嫌がらせがいい例だ。
零のことが頼りないわけじゃない。
あたしはそう言おうか迷ったけど、なんとなく言えなくなってしまった。
抱きしめられて顔が見えないのをいいことに、あたしは寝たふりをした。
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