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「司くんの彼女の凜ちゃんと、零くんの彼女の栞ちゃんだよね。上総から話は聞いてるよ」
「桜ノ宮凜です」
「神谷栞です」
タイミングよく追加したお酒が来たから、あたし達は乾杯をし直した。
話を聞くと、みちるさんは保育士をしながらまゆりちゃんを育てているらしい。
前の旦那さんは体が弱かったらしく、まゆりちゃんが生まれる前に亡くなってしまったと、みちるさんは悲しく微笑みながら教えてくれた。
「ま、上総と出会えてホントによかったと思ってるんだ。まゆりも上総になついてるし」
まゆりちゃんを見ると、上総の膝の上でおいしそうにオムレツを食べている。
なんだか普通に親子みたいだ。
「きゃー、遅れてごめんなさい」
いきなり慌てて入って来た女性を見て、あたしは持っていたグラスを落としそうになってしまった。
「遅せぇよ葉月」
「ごめんごめん。あ、初めまして~曽我葉月です。産婦人科医やってます。章介共々よろしく~」
記憶がよみがえる。
あたしは吐きそうになるのを悟られないようにトイレに行った。
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