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その少し後に、あたしは平然を装って葉月さんとみんなのもとへ戻った。 あたし達が知り合いだということは秘密にすることにした。 なにかと詮索をされても困るから。 個室の中は、相変わらず男と女に分かれている。 まゆりちゃんは上総にべったりのままだ。 女のトークとなると、出て来るのがやっぱり結婚の話だ。 「あたしはなー。結婚してもしてなくても一生医者だから、章介がしたくなったらでいいや。今結婚しても家庭より仕事になりそうだしなぁ…」 「あたしも上総しだいかなぁ。そろそろしたい気持ちもあるけど…まゆりの為にも」 そう言ってみちるさんは上総とまゆりちゃんのほうを見た。 母親の目をしていた。 「あたしは今すぐしたい。それで子供早く作って、落ち着いたらまた仕事かなー。栞ちゃんは?」 「あたしは…まだ付き合ったばかりだからな。先のこと考えてないってわけじゃないよ、零とはずっと一緒にいたいな」 葉月さんがあたしを見て微笑んだ。 その微笑みの意味は、あたしと葉月さんしか知らない。 .
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