いち

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ふいに、 自分の息の出す泡とは違う、別の泡を感じてドーターは振り返って、泡の出る方向を見た。 ―クップップ― 泡は、とぎれとぎれの空気の玉をつくると、いきなり彼女の足を掴んだ。 驚いた彼女は、慌ててそれを振り払おうと足をばたつかせた。けれど、それは離れない。まるで追われる魚たちのように、ドーターは海の中を逃げ泳いだ。 掴まれた足の奥の方で、ふたつの目が光るのを見た。
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