※息子※

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だが 息子を「かわいくない」と感じた事、 この時はまだ、さほど気にも留めていなかった。   顔が丸々パンパンで、 腫れぼったい顔。 顔もカワイイとは言えなかったし、 泣き声にウンザリするのも   みんなこんなもんなんだろう、そう思っていたから。         退院してから 毎晩、 深夜に目覚ましよりヒドイ音量の泣き声に起こされる。   …どこの赤ちゃんも深夜に泣くんだから、仕方ない。     そう自分に言い聞かせながらも、 母乳を断固拒否する息子の為に、 無理矢理起こされて 不愉快なまま、 お湯を沸かす。 分量を計ってミルクの粉を入れ、 お湯を注いでよく溶かしてから、 今度は哺乳瓶の外から水をかけて、 人肌まで冷ます…     この作業が心底イヤな訳じゃない。   この作業の間、 ずっっっっっと、 あの声で泣き続け 寝起きの頭にガンガン響く… サイレンを止める為の作業には、 母乳を飲まない息子の為に粉ミルクを調合する時間がかかる為にイライラしていた。     ミルクを飲めばグッスリ眠る息子。 だが、 私はパンパンに張った胸を どんなに 眠くても搾乳しなくては痛くて眠れなかった。     …息子が飲んでくれたら どんなにいいだろう…   私の身体は母親になりたがっているのに 息子はそれを拒否する… とても 虚しくて 悲しい時間だった。
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