※息子※

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それでも 私のカワイイはずの赤ちゃんだ。 泣き方は 個性のひとつ。     どんなに泣いている子でも 母親が抱けば 泣き止むだろう。   そんな… 私の勝手な、 淡い夢のような 理想のような 思い込みがあった。     それは 思い込みに過ぎなかった。       ハナッから狂い泣きの息子は 抱っこで泣き止むどころか、 「下ろせ!」 と言わんばかりに 私の身体を 小さな手で、 力いっっっぱいに押しやり、 顔を背け、 身体をひねり… 私の腕の中から出たがるように暴れた。 危うく 落としてしまいそうになる位に 激しく暴れた。   看護師さんが 授乳をすすめる。 看護師さんも、 暴れて叫ぶ息子に 「そんなにお腹が空いてるの?」 「そんなに怒らなくても大丈夫よ」 と声をかけた。   お腹が空いて泣いているのなら、オッパイを飲めば泣き止むのだろう。     それも理想に過ぎなかった  
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