三章 天空の城

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だがしかし、リリン・プラジナーは大方の予想を裏切り非常に有能な指導者であった。 メインスポンサーを務めるDNAの組織改革を断行し、敵対するRNAに対抗しうるだけの力を獲得させ〔圧倒させる事さえ可能であったが、それでは限定戦争市場は活気づかない。あくまで二勢力の均衡を保ち、戦闘を長引かせて利益を得ようとしていたらしい。〕、一時は自陣営から離脱しかけた各プラントを繋ぎ止めてFR-08体制の崩壊を防いだ。 (それにしても、“本物”だな、これは…) まさしく、リリン・プラジナーは“本物”の指導者であった。 「ラキト・ファルテスタ?」 「…っは?!」 リリン・プラジナーの声がラキトを現実に引き戻す。 どうやら考え込んでいたらしい。 「…お疲れのようですね。部屋を用意させましょう、今日はゆっくりお休みなさい」 「い、いや、しかし」 「“シャドウ”との遭遇は貴方の精神に多大な負担をかけている筈、今日のところはお休みなさい」 「…わかりました」 へたに逆らう事はない。それに、疲れているのも事実であるし。 「では詳しい事は後ほど。それでは…」 二人の従者と共にリリン・プラジナーは去っていった。
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