85人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
「何を惚けている、ラキト」
「…はっ」
何だか“リビエラ”に来てから気が抜けっぱなしのラキトであった。
「ふふっ、まあ仕方無い、私も初めてお会いした時は似たようなものだった」
エニスが笑う。
一方のラキトは少々ばつが悪そうである。
「ところで、後ろに控えていた二人は誰なんだ?」
白い外套の男とフードをかぶった小柄な人物。
「守護騎士の方々か?」
「ああ。あの白い外套の男の人も…」
「そう、騎士だ。インター・バスケス卿。騎士団の中でも五指に入る程の方だ」
「もう一人は?」
「あの方の事は我々もよくは知らないのだ。リリン様直々に守護騎士に任命されたそうだが…」
ラキトはあの小柄な姿を思い返す。
全身をフード付きの白い外套に覆われていて、外見上の特徴は右手に携えていた杖ぐらいだろうか。
その右手も白い手袋をしていたので、何かの手がかりにはなりそうにない。
「考えても仕方無いだろう?リリン様の好意に甘えて今日は休んだほうがいい」
「…そうだな」
とにかく今日は色々な事がありすぎた。
“シャドウ”
白光騎士団
リリン・プラジナーとの対面
(夢じゃ…ないよな)
いまさらだが、自分の頬をつねってみるラキトだった。
「…痛っ」
最初のコメントを投稿しよう!