三章 天空の城

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「彼のこと…どう思われましたか?二人共」 “リビエラ”内の通路を歩きながらリリンが問う。 「あれが本当に“シャドウ”と遭遇した者とは…とても思えません」 バスケスが答える。 「そういえば彼は貴方と境遇が似ていますね、バスケス卿」 「はい、私が“シャドウ”と遭遇したのはMBV-707のテスト中の事でした。自分自身の経験から見ても、何かしらの影響があってもおかしくはないのですが」 『そのとうりです。でも…』 フードの人物が口を開く。 『あのかたのせいしんは正常でした。せいしんおせんをされた形跡もありませんでした』 やわらかな、優しい声。どうやら女性のようだ。 『くわしい事はわかりませんが、あのかたがたぐいまれな素質をもっているのはたしかです』 それを聞いてリリンが微笑みながら答える。 「“姉さん”が言うのなら間違い無いですね」 しかし、すぐにその表情は硬くなる。 「しかし、それだけでは“シャドウ”に打ち勝つ事はかないません。“強き心”がともなわなければ」 リリンの言葉に二人が頷く。 「ラキト・ファルテスタにその強さが無ければ…」 リリン・プラジナーはその瞳を閉じ、そして静かに言い放った。 「“影”にその心喰われ、命を散らす事になるでしょう」
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