四章 “影”再び

2/24
前へ
/118ページ
次へ
「…っまだまだぁ!」 「よかろう、こいっ!」 ガキィィン…!! “リビエラ”の甲板上でぶつかり合う二機のVR。 パイロットはラキト・ファルテスタとエニス・レアリス。 乗機は『MBV-707-Gテムジン』の白光騎士団専用特別仕様機だ。 VRの心臓部であるV-コンバータ出力にして、通常の第二世代型の数十倍を誇る地球圏最強の機体である。 ガキャァ…バシィィ…ン… 「どうした?動きが鈍くなっているぞ!」 「くっ…!」 だがこの機体を操る為には、超人的な技量が要求される。 普通のパイロットでは戦闘どころか、ただ歩かせる事すら困難だろう。 それを踏まえれば、まがりなりにも操れているラキトは大したものなのだ。 しかし… 「これでまた…一本!」 エニスの一太刀が決まる。 ヴァシュウゥゥ! 「うあぁっ!?」 それだけでは、闘いには勝てない。 ズゥゥウン… 「二十本目だな、ラキト」 「……チッ…」 コクピットでラキトは観念したかの様に目をつぶる。 (…ダメだ…このザマじゃ) 己の腑甲斐なさを呪う。 (こんなんじゃ…) (“シャドウ”には勝てやしない…っ!)
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加