四章 “影”再び

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‥‥一ヵ月前 浮遊空母“リビエラ” 最深部・白壇の間 「これを…俺に?」 ラキトの前にあるのは騎士団の力の象徴、純白の『テムジン』。 エニスの機体と同型機だ。 「貴方が立ち向かわなければならない脅威に、対抗しうる力を持った機体です」 リリンが『テムジン』を見上げる。 「我が白光騎士団にも、未だ数機しか配備されていない第二世代型の『テムジン』をベースにしています。“シャドウ”とも互角以上に闘えるでしょう」 「でも、どうして…」 ラキトが問う。 何故そんな貴重な機体を自分に? 白光騎士団の騎士でもないのに? リリンは視線を戻し、ラキトを見つめた。 揺るぎない意志を湛えた瞳。 引き込まれてしまいそうだった。 ‥やがて、リリンが口を開いた。 「貴方が出会った“シャドウ”は、『貴方でなければ』滅する事が出来ないからです」 「俺でなければ…?」 「といっても、貴方だけに限った事ではありません。これは“シャドウ”と出会ってしまった者が、乗り越えねばならない不可避の運命(さだめ)」
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