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そう言うとリリンは間の中央、自らの玉座へと歩きだす。
「“シャドウ”は、一度狙い定めた者を決して逃がしはしません。その命を、心を喰らいつくすまで、決して」
「……」
「たとえその前に誰かに打ち倒されても、また新たな姿で現れるのです。」
「…だから、か」
あの時、
エニスが“シャドウ”を倒そうとしなかったのも。
自分が戦死扱いにされ、ここ“リビエラ”に連れてこられたのも。
ラキトの前に再び現れるであろう“シャドウ”を倒す為に…
「そう、貴方の思う通りです」
ふわり、と少女は玉座に身を沈め、
「“シャドウ”がもたらす災厄を広げぬ為、確実に彼の者達を葬りさる為に」
そして静かに言い放った。
「その命、私にください。ラキト・ファルテスタ」
‥‥そして現在
(…死んでたまるか)
たとえ自分が“シャドウ”を釣る餌だとしても、“シャドウ”を撃つ為だけの鉄砲玉だとしても。
(生き抜いてやるさ…絶対に!)
「まだやるか?ラキト」
「ハッ、当然!いくぞエニス!」
『テムジン』を立ちあがらせ、ラキトは戦闘体勢を整える。
「フフッ、そうこなくてはな!」
どこか嬉しそうにエニスも構える。
模擬戦二十一本目が今まさに始まろうとした時、
『二人共、いいかげんにしなさい!!』
割れんばかりの大声で横槍の通信が入る。
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