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そんな機体で実戦形式の模擬戦をラキトとエニスは毎日のように行っていた。
自然、不具合や損傷が増え、機体の保全作業にかかる費用も右肩上がりであった。
「今までかかった費用…見てみる勇気ある?」
シャルはレポートをひらひらさせて、引きつった笑顔を浮かべる。
ラキトもエニスもまた、引きつった笑顔で、
「…遠慮します」
「…私も同じく」
「あらそう、じゃあ私が教えてあげる。そうねー、VRが百機単位で二部隊は雇えるわよ?」
―目安として。
当時最大のVR保有組織であったDNAのVR配備数が約千五百機程度であった。
「……」×②
「アンタ達の気持ちは解らんでもないわ。でももう少し裏方の苦労も知ってほしいわね」
「申し訳ない」
「すまない…」
二人共素直に謝る他ない。
「解ってくれたならいいわ。あ、ラキト君ちょっと話があるから後で来てくれる?」
「は、はい」
「OK、じゃ二人共これからは少しは自重なさいよ」
そう言うとシャルは自分の仕事へと戻っていった。
「悪かったな、エニス」
「いや、私も至らなかった。我らを支えてくれる者達をおろそかにするとは、私もまだまだだ」
古来より、補給等の後方支援は軍隊の最重要事項だ。
それは電脳暦の時代も変わらない。
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