四章 “影”再び

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「暗いぞ、ラキト」 いつのまにかやって来たエニスが背後から声をかけた。 「ほっといてくれ」 「それがそうもゆかなくてな」 すとん、とラキトの横に座るエニス。 「何を…抱えている?」 「藪から棒に…」 「シャルから話は聞いた。私でよければ…ラキト?」 唐突にラキトは立ち上がり窓の方へと歩いて行く。 「……」 果てしなく広がる雲海を見つめる。 「“シャドウ”が恐い訳じゃない。戦う覚悟もある。最高のVRまで用意してもらった」 拳を握りしめる。 「けど“シャドウ”との戦いが終わったら俺に何が残る?負ければそこまで、勝てたとしても俺の存在は既に抹消されている」 エニスは黙ってラキトの告白を聞いていた。 自嘲気味にラキトは続ける。 「覚悟を決めたとか言いながら、そんな事を心のどこかで考えてたんだな。何も得るモノなんか…」 「ははははははははは!」 エニスが突然笑い出す。 「な…い…ておい」 「くくく…はははははは!!」 腹抱えて笑い転げる。 とまではいかないものの、普段の彼女からは想像できない程の笑い声であった。 「何を思い悩んでいるのかと思えば…くくっ…はははははっ!」 「な、何だよ?!何が可笑しい?!」
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