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「ははははは、…ハッ!貴公があまりにもくだらん事を言うからだ、この馬鹿者」
大爆笑から不意に真面目な顔でエニスが言い放つ。
「くだらん事だって?!」
ラキトは食って掛かるが
「ああくだらん!!」
エニスはばっさりと切り捨てた。
「得る物が無いだと?その前に貴公はまだ“シャドウ”も倒していない、何も成してはおらんだろうが!」
「…!」
「何もせずに得られる物など無い。当たり前の事だ。故にくだらんと言ったのだ」
「……」
「…まず貴公は“シャドウ”に打ち勝て。全てはそれからだろう」
生き延びる為にも。
何かを得るにしても。
眼前の驚異である“シャドウ”に勝つ。
元より他に道などなかったのだ。
「その後貴公がどうするか…その時決めればいいだろう」
そしてエニスはラキトに歩み寄り、その手を取った。
「その時は私も及ばずながら力になろう。無論、“シャドウ”との戦いでも」
初めて顔を会わせた時と同じ様に、彼女の碧い瞳がラキトを捉える。
「だからラキト、自ら歩みを止めるな。貴公ならきっと良き道がひらける」
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