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(…すまない)
ラキトはエニスに謝ろうとしたが思い止まった。
(いや、違う)
ここは謝る所じゃない。
「…ありがとう」
エニスは微笑みで答える。
どうやら正しい選択であったようだ。
「フフ、良い事言うじゃないエニス」
二人から少し離れた物陰でシャルが呟く。
「ま、これで問題は解決かな?」
あの様子ならもう迷う事も無いだろう。
後は…
「それじゃ、アタシも一仕事するといたしますか」
そう言うと格納庫にシャルは歩いていった。
「すいませんラキトさん、今日からしばらくこの機体を使って下さい」
今日も今日とて、訓練をしようと格納庫を訪れたラキトを待っていたのは、旧型の『テムジン』だった。
それでもれっきとした白光騎士団仕様である。通常のVRとは比べるべくもない。
しかしいきなり機体を替えられるとは…。
「ハッ!もしかしてついに整備費用が…?」
「はははっ、違いますよ。カミ…いやいやライナリー博士がですね、ちょっと」
話によると、昨夜遅くシャルがどこかへと運び出したのだという。
「ラキトさんが来たら、
『悪いようにはしないから❤』
と、伝えろと」
「…いや、❤って」
「大丈夫ですよ。あの人の仕事は確かですから」
ラキトもその辺は信頼している。
(一体、何を?)
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