四章 “影”再び

11/24
前へ
/118ページ
次へ
(…すまない) ラキトはエニスに謝ろうとしたが思い止まった。 (いや、違う) ここは謝る所じゃない。 「…ありがとう」 エニスは微笑みで答える。 どうやら正しい選択であったようだ。 「フフ、良い事言うじゃないエニス」 二人から少し離れた物陰でシャルが呟く。 「ま、これで問題は解決かな?」 あの様子ならもう迷う事も無いだろう。 後は… 「それじゃ、アタシも一仕事するといたしますか」 そう言うと格納庫にシャルは歩いていった。 「すいませんラキトさん、今日からしばらくこの機体を使って下さい」 今日も今日とて、訓練をしようと格納庫を訪れたラキトを待っていたのは、旧型の『テムジン』だった。 それでもれっきとした白光騎士団仕様である。通常のVRとは比べるべくもない。 しかしいきなり機体を替えられるとは…。 「ハッ!もしかしてついに整備費用が…?」 「はははっ、違いますよ。カミ…いやいやライナリー博士がですね、ちょっと」 話によると、昨夜遅くシャルがどこかへと運び出したのだという。 「ラキトさんが来たら、 『悪いようにはしないから❤』 と、伝えろと」 「…いや、❤って」 「大丈夫ですよ。あの人の仕事は確かですから」 ラキトもその辺は信頼している。 (一体、何を?)
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加