四章 “影”再び

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しかし、考えても仕方ない。 VRの事はシャルに任せよう。 自分のすべきことは唯一つなのだから。       ※ 【……】 何処とも知れぬ空間。 “影”はそこに居た。 【……】 その眼に光が灯る。 まるで血の様な紅い色。 【……】 “影”もまた、 新たな機体を得ていた。 今度こそ、ラキトを喰らいつくす為に。       ※ あれから数日。 シャルは全然姿を見せていなかった。 ラキトも心配はしていたものの、実際それどころではなかった。 エニスとの模擬戦も続いていたし、鳴りを潜めた“シャドウ”の事も気にかかっていたのだ。 そんな中、今日も“リビエラ”の甲板でラキト達は訓練を繰り返していた。 ズウゥン… 「どうした?ハンデもつけてやっているのに」 ラキトの機体が旧型なので (フェアじゃない) と、エニスは今その身体に『リミッターインプラント』を埋め込んでいる。 もともとは白光の騎士達が、任務中に止むを得ず人前に姿を晒さねばならない時に埋め込んでいた物である。 ラキトはいらないと言ったのだが、エニスが譲らなかったのだ。 「…チッ」 結果として、ハンデをつけてもつけなくてもあまり状況は変わらなかった。
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