四章 “影”再び

15/24
前へ
/118ページ
次へ
『RVR-68ドルドレイ』 電脳暦a3年、RNAに制式採用された重戦闘VRである。 特筆すべきは、その驚異的な耐弾性能と類い稀な突貫力で、遠距離においては通常の射撃攻撃を全く寄せ付けず、中・近距離においては左腕のドリルを用いた突撃戦法でDNAのVR部隊を苦しめたという。 「チッ、『ドルドレイ』とはなかなか良い機体を手に入れたじゃないか」 元RNAのパイロットだったラキトにとってはよく知った機体だ。 それ故に、敵にまわった時の恐ろしさもよく解る。 【……】 “シャドウ”がドリルを前に突き出し、身を屈める。 そしてドリルが唸りをあげ回転を始める! 「!、来るぞエニス!!」 ドンッ!! 一瞬でトップスピードに達する“シャドウ”。 「チイッ!」 「くっ!」 それぞれ左右に別れ回避するラキトとエニス。 ガガガッ!! 二人の背後にあった連絡艇が“シャドウ”の突撃を受け、瞬く間にスクラップと化す。 この突撃は俗に『ドリル特攻』とパイロット達の間で呼ばれ、『ドルドレイ』の代名詞となっている。 「何とも…凄まじいな、あの突撃戦法は」 「ああ、一度発動したら止める術は無い」 「…ならば」 エニスが気付く。 「そう、止められなければ…」 ラキトが答える。 『『その前にケリをつける!!』』 同時に二人は駆け出した。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加