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一方、格納庫に戻ったラキトを迎えたのは、一枚の巨大な円盤型のディスクだった。
「これは…」
時折七色に光るディスクを見上げ、ラキトは呟く。
「V-ディスク…?」
V-ディスクとは、VRの心臓部であるV-コンバータ内に収められている巨大なディスクの事である。
ムーンゲート・月面遺跡から採取されたV-クリスタル質を加工して作成され、VRの設計データが記録されている。
VR製造の為になくてはならない物だ。
「どう?」
背後からシャルが声をかけた。
「これならラキト君も全力を出せると思うわ。自分で言うのもなんだけど自信作よ~」
「博士、あの」
「あーいいってお礼なんて!前に言ったでしょ、最適な機体を提供するのがアタシ達の仕事だって」
「いや、だから」
「しかし大変だったわ!おかげでここ数日完徹よ」
「…博士!」
「ん?何よさっきから」
「あーその、V-ディスクだけを見せられても、パイロットの俺には、なにがなんだが…」
はっ、とするシャル。
少々気まずい沈黙が流れる。
「…ごめんなさい。はは、そりゃそうよね…」
シャルは頭をかきながら、周りの整備員に合図を送る。すると、
ゴウン…
巨大なアームがディスクを掴み、その隣にあったV-コンバータ内に収められる。
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