四章 “影”再び

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それを確認したシャルは 「よし、起動させて」 と、さらに指示を与える。 キィィ…ン V-コンバータ起動と同時に、V-ディスクが発光しながら回転を始める。 そして徐々に、その発光と回転は激しくなっていく。 「これは…」 「もしかして見るのは初めて?VRのリバース・コンバート」 「ええ…」 VRは普通の機械製品の様に、人の手ないしは機械の手によって、部品を組み立てたりして作られてはいない。 そういう行程で作られているのはV-コンバータ・ユニットと、コクピットブロック、そして携行武器のみである。 その他の部位は、V-ディスク内に記録された設計データが実空間に再構成・実体化する事で作られているのだ。 この様な、情報としての各種データを実空間に再構成・実体化させる現象を、総じて『リバース・コンバート』と呼ぶ。 最初にコクピットブロックを覆う様に胴体部が実体化する。 そして頭部、次に両腕、両足と実体化が進んでいく。 「あ…」 ラキトが声を洩らす。 やがて現れた、その鋭角的なシルエット。 背部と腰から伸びる二対の翼。 そして、全身が輝くばかりの白に変わっていく。 「『サイファー』…!」 それは、かつての愛機『サイファー』の新たな姿。 “白光の翼”の誕生であった。
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