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「これは…」
「察しの通り、これはキミが乗ってた『サイファー』よ」
ラキトの問い掛けに、どこか得意気に答えるシャル。
「キミの『サイファー』のV-ディスクに記録されてた設計データとここに来る以前のキミの戦闘データを、ウチの『テムジン』のV-ディスクに移し替えたわけよ。もちろん移し替えただけじゃダメだからいろいろ細かい調整なんかもして…」
「あー、博士」
堰を切った様に喋りだしたシャルをラキトが止めようとした、その時―
ズズズ…
地鳴りの様な音が響く。
「!」
「な、何の音よ?今の」
「……エニス…!」
『サイファー』のコクピットに駆け出すラキト。
「ラキト君!?」
「すぐに出ます!!」
ラキトはコクピットに飛び込み、素早くOSを立ち上げる。
〔M・S・B・S/ver.5.2〕
計器類に次々と光が灯る。
たった一ヵ月であるが妙に懐かしい気分がした。
そこにシャルから通信が入る。
「ラキト君、聞こえる?」
「博士」
「エニスが思い切った事やってくれたわ。“シャドウ”を自分もろとも発進カタパルトで射ちだしたの」
「!、さっきの音はそれか…」
あんな状態だったのだ。
おそらく苦肉の策であったろう。
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