一章 “影”との邂逅

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このような背景から、ラキト達RNAにとっては一対多数の状況になることは、危機たりえなくなっていた。 「さて、あと一つで…ん?」 レーダーを見ると、目標のエアポート付近のVRが次々とその反応を消していた。 「…変だな」 RNAでは戦場での役割分担は徹底されている。今回の攻撃担当は自分一人だった筈だ。ならば、何故―? ラキトは『サイファー』を高速飛行形態『モータースラッシャー』に変形させると、最大戦速で現地に向かった。 目標のエアポートでは、凄惨な光景が広がっていた。 防衛のDNA所属のVR部隊は全滅していた。 しかし、その全滅のしかたが異常であった。 あまりにも執拗な攻撃が加えられていたのだ。 通常、限定戦争では搭乗する機体が戦闘不能、あるいは行動不能になった時点で、その機体に攻撃することは禁止されている。 だが、ここに倒れているVRは頭部をつぶされ、腕を引きちぎられ、足を吹き飛ばされ…ほとんど原形を留めていなかった。 コクピット付近の損傷もひどい。 パイロットはおそらく生きてはいないだろう―。 「ひどいな…コイツは…」 敵とはいえあまりの惨状に、おもわずラキトは呟いていた。 ―その時!
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