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このような背景から、ラキト達RNAにとっては一対多数の状況になることは、危機たりえなくなっていた。
「さて、あと一つで…ん?」
レーダーを見ると、目標のエアポート付近のVRが次々とその反応を消していた。
「…変だな」
RNAでは戦場での役割分担は徹底されている。今回の攻撃担当は自分一人だった筈だ。ならば、何故―?
ラキトは『サイファー』を高速飛行形態『モータースラッシャー』に変形させると、最大戦速で現地に向かった。
目標のエアポートでは、凄惨な光景が広がっていた。
防衛のDNA所属のVR部隊は全滅していた。
しかし、その全滅のしかたが異常であった。
あまりにも執拗な攻撃が加えられていたのだ。
通常、限定戦争では搭乗する機体が戦闘不能、あるいは行動不能になった時点で、その機体に攻撃することは禁止されている。
だが、ここに倒れているVRは頭部をつぶされ、腕を引きちぎられ、足を吹き飛ばされ…ほとんど原形を留めていなかった。
コクピット付近の損傷もひどい。
パイロットはおそらく生きてはいないだろう―。
「ひどいな…コイツは…」
敵とはいえあまりの惨状に、おもわずラキトは呟いていた。
―その時!
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