五章 激突、そして

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  「…ああ、まかせておけ」 「!?」 思いもよらぬ程近くから聞こえた声に、エニスは閉じかけた目蓋を開く。 「ラ、ラキト?」 視界に飛び込んできたのは自分を見つめるラキトの顔。 一瞬間を置き、彼に抱き抱えられている事に気付く。 「え…これは一体…私は…?」 少し思考が混乱する。 自分は“シャドウ”もろとも“リビエラ”を飛び出した筈では― 「まったく無茶したもんだな、そんな体で」 あきれながらもどこか安心した様な顔をして、ラキトは微笑む。 エニス自身は飛び出した直後だと思っているが、実際にはそれなりの時間が経過していた。 「すぐに博士も来る…身体、大丈夫か?」 「……ああ、大事ない…」 そう言って再びエニスは目を閉じ、頭をラキトの胸にもたせかける。 (…不思議だ) 身体のあちこちが悲鳴をあげているのに。 なんだかとても心地好かった。 「ラキト…わた」 『エ~ニ~ス~!』 響き渡る大音量。 「お、来たな」 見上げると、シャルがレシーバーを片手にVRトランスポーターのハッチから身を乗り出していた。 『大~丈~夫~?』 そう言ってぶんぶんと手を振るシャル。 「……不粋な奴め」 「ん、どうしたんだ?」 エニスは一瞬ラキトを見つめ、そして一言。 「…何でもないっ」
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