五章 激突、そして

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一瞬ではあるが胸中をよぎった、自らの本当の想いを言える訳もなく。 「エニス?」 「………」 エニスはただうつむくばかりだった。 ―少しばかり顔を赤らめながら。 「あらあら派手にやってくれたわね」 着陸したトランスポーターから降り立ったシャルは、ボロボロの『テムジン』を見て半ば感心したように言った。 「すまないシャル、私の力不足だ…」 “リビエラ”の救護隊のベッドに身を横たえたエニスが詫びる。 「何言ってんの、アナタが無事でよかったわ」 てっきりシャルのカミナリが落ちると思っていたラキトは、その優しい声色に少し驚いた。 「VRならアタシが何度だって直したげる」 そう言いながらエニスの髪を指ですく。 「でも生身の人間はそうはいかないからね…」 「シャル…」 「…無事で良かったわ、ホント」 そんな二人を見てラキトは微笑むがすぐに表情を引き締める。 「……」 エニスの事はもう大丈夫だ。 後は“シャドウ”を倒すのみ。 ラキトは決意も新たに、愛機に向かって歩きだした。
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