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ガシュン!ドォン!
「よかったの?一言も声かけなくて」
「ああ、いいんだ」
変形し飛び去っていく『サイファー』を見つめながら、エニスはシャルの問いに答える。
「ラキトの迷いは“あの夜”完全に吹っ切れた。シャルだって分かってるだろう?」
「…気付いてた?」
「白光の騎士を甘く見るなよ、出歯亀シャル」
「あらら、手厳しい」
「…今更私がラキトに言う事は何も無い」
「本当に?」
「……ああ」
本当は、有る。
話したい事。
聞きたい事。
たくさん有った。だが…
「………」
ラキトはこれから生命を落とすかもしれない戦いに赴くのだ。
余計な事を考えさせたくなかった。
「…素直じゃないんだから」
「何?」
「応急処置は済んだしインプラントも外した、痛みはするだろうけど我慢出来るね?」
「シャル?何なのだ?」
「アタシ達も行くのよ、ラキト君の所へ!」
「ええ!?」
「もう自分は力になれないとでも思ってる様だけど“傍に居る”ってだけでも違うものだよ?それに、アンタが見届けなくて誰が見届けるの?」
「シャル…」
「大丈夫!アンタと特訓して、アタシの作った機体に乗ってんだから!負ける筈が無いわよ!!」
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