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シャルの言葉にエニスはしばし考え込んでいたが、
「そうだな」
意を決したのか起き上がり、ベッドから降り立つ。
「行こう、シャル」
今の自分はラキトと共に戦う事は出来ない。
だがシャルの言う様に、戦わずとも、たとえ僅かでも、力になれるというのならば。
「…ラキトの所へ」
「ふふっ、そうこなくちゃね」
そう言ってシャルはエニスの手を取った。
「なんの因果かな…これは」
“シャドウ”の反応を追ってきたラキトは眼下に広がる砂漠を見下ろしながら呟いた。
レンタリア第71戦区。
そこはかつて自分が、“シャドウ”そして白光騎士団と初めて出会った場所。
良くも悪くも因縁の場所である。
「まさか演出…って訳じゃないよな」
そんな遊び心が奴等にあるわけないか、と一人笑う。
とその時、
―WARNING―WARNING―
発せられた警告にそれまでの笑顔は消し、ラキトは瞬時に己を戦闘モードに切り替える。
気付けば、前方に高い砂煙が立ち上っている。
『ドルドレイ』―“シャドウ”がホバリングで高速移動している為に巻き上げられた砂煙だ。
ラキトは“シャドウ”の姿を確認するやいなや機体を急降下させ、こちらも砂煙を巻き上げて地面すれすれを飛行する。
今正に激突の時であった。
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