五章 激突、そして

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先手を打ったのは“シャドウ”だった。 砂漠を高速で疾走しながら、右腕のフレイム・ランチャーから炎の弾丸を散弾銃さながらにばらまく。 正確に照準をつけた射撃ではないが、それを補って余りある弾数がラキトを襲う。 対してラキトは『サイファー』をモーター・スラッシャーからVR形態へと変形させ、胸部ビーム砲を迫りくる弾幕に向かい撃ち放った。 たった一発のビーム弾を撃っただけで、その後ろくな回避行動もとらずにラキトは突き進む。 一発の威力は『サイファー』のビーム弾の方が強いが威力以前に弾数が違いすぎる。相殺させるにしても無理がありすぎるのだが…。 ドオォォン! 『サイファー』から撃ち出されたビーム弾が炎弾と接触した瞬間、凄まじい爆発を起こす。 その爆発によりほとんどの炎弾が相殺され消滅していく。 この時ラキトが撃ったのは、通常より数倍のエネルギーが凝縮されたいわばビームボムと呼べる物だった。 ビームの貫通による「点」の破壊ではなく、エネルギーの爆発によって、より広範囲に影響を与える「面」の破壊を重視した射撃パターンである。 攻撃はもちろんその爆発を利用し、敵機の射撃攻撃を相殺する防御手段としても利用できるのだ。
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