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“シャドウ”が放った強烈な光も徐々に弱くなり、ラキトの視界に色彩が戻る。
だが先刻までは有った筈の、ある一つの色が足りなかった。
“黒”である。
それは“シャドウ”の機体色。
ラキトの眼前から“シャドウ”は忽然とその姿を消していた。
(何処へいった…?)
左右を見渡すが、見えるのは砂と岩山ばかり。何処にも“シャドウ”の姿は見えない。
退いたのか?
(いや、あの声はもう少しつきあってもらうと言っていた。なら、まだ何処かに居る筈)
と、その時。
『…聞こえるか!?ラキト!』
「エニス?」
『早く、早くその場から離れろ!』
いきなり入ってきたエニスからの通信にラキトは少し戸惑う。
「離れろって一体何がどうして…」
その強い口調から彼女が真剣なのは解るが、何がそうまでさせるのか。
『馬鹿者!!上だ!!』
「上だって?」
そう、ラキトの頭上に有った。
エニスをそうまでさせるモノが。
「…………………な」
そこには“シャドウ”が居た。
「……何なんだ…」
ただ…。
「アレは一体何なんだッ!?」
元の大きさよりも遥かに大きく、巨大化した姿になって。
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