五章 激突、そして

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「オイオイ…冗談だろ?」 VRが巨大化するなど笑いだしたくなる程馬鹿馬鹿しい話だが、実際に目のあたりするとまた違う意味で笑いだしてしまう。 今のラキトが正にそんな心境だった。 しかも“シャドウ”はさらにその大きさを増し続けている。 「どこまで大きくなる…ん?」 違う。大きくなっている訳ではなかった。 “シャドウ”は落下していたのだ。ラキトに向かって。 「冗談だろぉーッ!!」 モータースラッシャーに変形し、全速でその場を離脱する。 ズドォォォォン!!! 大量の砂を巻き上げ、巨大な地響きを立て“シャドウ”が着地する。 地面が砂地とはいえ、踏み潰されていたらただでは済まなかっただろう。 「反則だろうが…あんなモノ」 上空を旋回しながらラキトが呟く。 『そうでもないわよ』 エニスに続けて今度はシャルから通信が入る。 『ノーマルの『ドルドレイ』にも積んであるしね、あの巨大化出来るシステム』 「嘘だろ!?RNAでも聞いた事ないぞ!」 『ホント。ま、積んであるってだけで使える代物じゃないんだけどね』 方法としてはV-コンバータをオーバードライブさせ通常の十数倍の規模でリバース・コンバートを行うというものだが、普通のコンバータではそれだけのリバース・コンバートを可能とする出力にはまるで足りない上、コンバータ自体も長時間の負荷に耐えられない。 そんなシステムが何故搭載されたのか。 設計・開発段階でのミスがなんらかの理由で残ったという話もあるが詳しい事は不明である。
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