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しかし実際に“シャドウ”は巨大化してラキトの目の前に存在する。その事実に目を背ける事は出来ない。
『……ラキト、ここは退け』
「エニス?」
声を絞りだす様にしてエニスはラキトに告げる
『いくら貴公でもたった一人でアレと戦うのは無謀すぎる。ここは退いた方が良い』
それは白光の騎士としての判断なのか。
それともエニス・レアリス個人としての願いか。
どちらにしても撤退が最良の選択肢だろう事は間違いなかろう。
しかしラキトはそれを選ばなかった。
「エニス、前に言ってくれたよな?俺にはきっと良い道が開けるって」
『ラキト?』
「アレはその道のど真ん中で行く手を阻む馬鹿でかい石っころだ。アレをどけなきゃ俺は先には進めやしない」
『………』
「だから、さ」
モータースラッシャーの機首を“シャドウ”へと向ける。
「ちょっと蹴飛ばしてどかしてくる!」
そしてそのまま“シャドウ”に突っ込んでいく。
(そうだ、俺はもう立ち止まらない)
コントロールスティックを握る手に力を込める。
(立ち止まっていては何も得られない)
あの時自分を励ましてくれた真っすぐな瞳と手の温もりをラキトは思い出していた。
(そうだよな?エニス!)
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