五章 激突、そして

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「……そうだったな」 そうだ。 言った当人が立ち止まっていてどうする。 ここでただ無事を祈るだけで良いのか。 「どうしたの?エニス」 何処かへ行こうとしたエニスをシャルが呼び止める。 エニスは立ち止まり微笑みながら振り返った。 「やはり私には性に合わない。ただ見守っているというのは」 そして再び前を向く。 「剣を持ち共に戦う。それが私のやり方だ。白光の騎士として、なによりエニス・レアリスとして」 「…やれやれ、仕方ないわねぇ」 呆れ返った口調であったが、どことなくシャルの表情は楽しそうだ。 「貴方の剣は折れているわよ。腕の良い鍛冶師が必要じゃない?」 「……ふふっ、それではお願いできるか?鍛冶師殿」 「ご指名とあらば。騎士様」 笑みを浮かべて恭しくお辞儀するシャルだった。 ろくに照準もつけないままに、モータースラッシャーの射撃兵装が火を噴いた。的が大きいので難なく全弾が命中していく。 だが『ドルドレイ』はもともと重装甲が売りの機体である。巨大化した事でそれがさらに強化されたのか、レーザーもビームもまるでダメージを与えられずいた。 「なら…!」 急上昇をかけ“シャドウ”の頭上でVR形態に変形、そのまま自由落下にまかせビームソードで斬り掛かる。 しかしそれでも微かな傷跡がついただけ。決定的なダメージは与えられない。 「チッ!」 思わず舌打ちする。 こちらの攻撃は効かないだろうと予感はしていた。 が、あまり嬉しくない予感的中であった。
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