五章 激突、そして

18/26
前へ
/118ページ
次へ
再びモータースラッシャーに変形、上昇する。 「デカブツが…!」 攻撃が当たっていても効かなくては意味が無い。ただこちらが消耗していくだけだ。 それでは、いずれ…。 「うおおおおおおッ!!」 “シャドウ”の眼前に飛び出しVR形態に変形、ありったけの射撃兵装を発射する。 肩部ホーミングレーザー、左腕ビームダガー、胸部ビーム砲が“シャドウ”の頭部に命中していく。 「これでどうだぁー!!」 最後に右腕のマルチランチャーからターボレーザーを撃ち出す。 フルチャージされたエネルギーの閃光が突き刺さり、直後に大爆発を起こした。 ―しかしそれでも。 「………チッ」 “シャドウ”は立っていた。何事も無かったかの様に。 「OK!いいわよ!」 コクピットのサブシートに座るシャルの言葉を受けエニスは自らの剣、愛機『テムジン』を起動させる。 (すまない…休ませてやりたいが今はお前の力が必要なんだ…!) 心の中で愛機に詫びる。 「エニス!何とか出力は安定させたけど完調時の一割、いいとこ二割が限界よ。その上、そんなに長くは保たないわ」 「一撃加えられるかどうか、といった所か…」 ぎゅっ、とコントロールスティックを握り締める。 何とかその一撃を勝利、ないしは反撃の切っ掛けにできれば…。 「くっ…」 手持ちの札(カード)はあまり良いとは言えない。 最善の切り方をしなければ待っているのは『敗北』の二文字。 エニスは唇を噛み締めた。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加