一章 “影”との邂逅

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そこには、先程見たものと同じ光景が広がっていた。 ただ倒れているVRが自軍のものであるという違いはあったが。 「……」 間違いない。この第71戦区にRNAでもDNAでもない、第三の勢力がいる。 それもとてつもない戦闘能力を持ったヤツだ。 ラキトは全方位を警戒しつつ、この後どうするべきか考えていた。 RNAの軍人としては、 (勝敗が決したという連絡が無い以上、勝手に戦地を離れることは出来ない) だが一人の人間としては、 (一刻も早くここから離れたい。ここにいたら生命が危ない) 結局二つの考えが衝突しあい、結論がでないままそこに留まったことが、彼の命取りとなった。 ―ドクン― 急激に周囲の気温が下がった気がした。 ―ドクン、ドクン― 背後から凄まじい殺気を感じ、ラキトは機体をゆっくりと振り向かせる。 ―ドクン、ドクン、ド― そこには、 漆黒の“影”が立っていた。
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