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“それ”は圧倒的なプレッシャーを放ちながら、ゆっくりとラキトに近づく。
見た目は第一世代型の『MBV-04テムジン』である。
だが、その黒色の機体から発せられる禍々しさは尋常ではない。
まるで地獄の悪魔が現出したかのような。
ともかく、この世のモノとはとても思えなかった。
「っく…」
声が出ない。
出るのは荒い吐息だけ。
身体は“それ”を見た瞬間から凍り付いていた。
【………】
黒い『テムジン』は、右手のライフルの銃身からビームソードを発生させ、上段に構えた。
そして、正にそれはギロチンの如くラキトに振り下ろされようとしていた。
【……シ……ネ……】
“影”がそう喋ったのか、それともその禍々しき殺気がそう感じさせたのか。
どちらにせよ、ラキトの命は最早―。
『“影”(シャドウ)に飲み込まれるな!己の心を強くもてッ!!』
「…!」
凍り付いていた身体が、わずかに感覚を取り戻す。
バシイィィ…!!
間一髪、『サイファー』右手のマルチランチャーのビームソードで受けとめた。
ラキト自身、受けられたのが信じられなかった。
だがとまどってばかりもいられない。
受けたは受けたが、このままでは押し切られる。
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