一章 “影”との邂逅

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“それ”は圧倒的なプレッシャーを放ちながら、ゆっくりとラキトに近づく。 見た目は第一世代型の『MBV-04テムジン』である。 だが、その黒色の機体から発せられる禍々しさは尋常ではない。 まるで地獄の悪魔が現出したかのような。 ともかく、この世のモノとはとても思えなかった。 「っく…」 声が出ない。 出るのは荒い吐息だけ。 身体は“それ”を見た瞬間から凍り付いていた。 【………】 黒い『テムジン』は、右手のライフルの銃身からビームソードを発生させ、上段に構えた。 そして、正にそれはギロチンの如くラキトに振り下ろされようとしていた。 【……シ……ネ……】 “影”がそう喋ったのか、それともその禍々しき殺気がそう感じさせたのか。 どちらにせよ、ラキトの命は最早―。 『“影”(シャドウ)に飲み込まれるな!己の心を強くもてッ!!』 「…!」 凍り付いていた身体が、わずかに感覚を取り戻す。 バシイィィ…!! 間一髪、『サイファー』右手のマルチランチャーのビームソードで受けとめた。 ラキト自身、受けられたのが信じられなかった。 だがとまどってばかりもいられない。 受けたは受けたが、このままでは押し切られる。
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