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「っぬぅぅ…!こっの旧式(オンボロ)ぉぉぉー!!」
押し返すことはできない。
(ならば…!)
鍔迫り合いの体勢のまま、ラキトは『サイファー』の胸部ビーム砲を零距離で撃ち放つ!
ズシャアァァッ!
吹っ飛ぶ“影”。
だが『サイファー』も同様に吹っ飛ばされてしまう。
「ヘッ、ざまあみろ…」
衝撃に身体を揺さ振られながら、ラキトはそんな強がりを言う。
ああするしか方法は無かったものの、『サイファー』の薄い装甲では下手をすれば自殺行為である。
実際、胸部ビーム砲は使用不能になっていた。
しかし、“影”の方はというと吹っ飛ばされはしたがそれだけで、ほとんどダメージを受けてはいなかった。
「…そうかよ」
平然としている“影”を睨みつつ、ラキトは『サイファー』を立ち上がらせる。
「なら、とことんやってやる!いい気になるなよ、この黒づくめ野郎ッ!」
『同感だ』
先程、ラキトを叱咤した声が突如辺りに響きわたる。
「!?」
声がした方を見上げると、そこには―
『“シャドウ”よ、これ以上の狼藉、白光の騎士たるこのエニス・レアリスが許さん!』
―光に包まれた純白のVRが今まさに虚空から現出しようとしていた。
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