泰三さんを継ぐ者

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「そういう訳で、石黒くんはプロジェクトを引き受けてはくれなかった。美月くん、君はどうかな?」 美月とて小山の引退は嫌だし、辛い……でもそれ以上に、小山の夢は叶えてあげたい。 美月がこの麒麟COMPANYで夢を叶えさせて貰ったように、小山の夢……それが最後の夢だろうとも。 「お引き受けします」 「やってくれるかね?」 「ただし……石黒さんが引き受けるまでのピンチヒッターとしてです!石黒さんは必ずプロジェクトに参加しますから!」 頼もしくなった美月を、社長は満足そうに見つめた。 「うむ。頼んだよ美月くん!」 「ピンチヒッター? イジケテル イシグロサンヲ フッカツ サセタラ イインヤナ?」 「その通りだよ!石黒くんの目を覚まさせてやって欲しい」 「では社長、私はさっそく小山さんと打ち合わせに」 社長は、小走りに研究所セクションへ向かう美月を見送りながら、 「美月くん、君にはもっと羽ばたいてもらうよ?」 社長はまだまだ満足していない。 もっと、もっと……美月の未来の先を見つめている。
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